滋賀グリーンネット20周年に寄せて
- 一般社団法人 滋賀グリーン活動ネットワーク
- 会 長秋山 道雄
滋賀グリーンネットは、今年に創立20周年を迎えることとなりました。1999年の出発時点では242の会員数でしたが、2019年5月には472へと増加し、かつ活動内容も発足当初より多様化してきています。
創立20周年を迎えるにあたって、この20年間をふり返り、新たな歩みを進めるために、「滋賀グリーン購入ネットワーク」の名称を「滋賀グリーン活動ネットワーク」(略称・滋賀グリーンネット)へと変更することとなりました。発足当初は、環境配慮型商品の市場を拡大することによって、事業者が環境保全に寄与するという方向を目指しました。それから20年がたってみると、滋賀県では他府県に比べて県民の間でグリーン購入の認知度が高まってきています。これは、滋賀県民の環境に対する感度が高いことを示すとともに、滋賀県でグリーン購入活動が先駆的に行われてきたことを反映したものでもあるでしょう。
当ネットワークは、発足当時から会員の自発的な研究活動が活発な点に特徴がありましたが、その研究活動も食品ロスやプラスチックごみなどグリーン購入と直接関わるものから、エコ通勤や生物多様性保全等へと広がってきています。こうした現状を積極的に捉えて今後の当ネットワークの活動に生かすために、名称をグリーン購入からグリーン活動へと変更することとなりました。これからも、グリーン購入に関わる事象を活動の中心的な柱としつつ、環境に対する時代の要請を受けとめる営みを進めていきたいと考えています。
2015年秋に国連総会で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の考え方や具体的な取り組みの内容については、近年、かなり理解されてくるようになりました。グリーン購入からCO2の発生抑制や生物多様性保全などについて当ネットワークが行ってきた活動も、SDGsの目標と深く関わっています。足元に横たわる課題に持続的に取り組んでいくとともに、同じ課題に取り組んでいる他の団体や組織とも横の連携を深めていくことが目標の達成にとって重要であろうとみています。
滋賀グリーンネット20周年に寄せて
- 滋賀グリーンネット アドバイザー
- IGPN国際グリーン購入ネットワーク会長
- 前グリーン購入ネットワーク会長
- 中原 秀樹
滋賀グリーンネット20周年おめでとうございます。IGPN国際グリーン購入ネットワーク会長として心からお祝い申し上げます。グリーン公共調達の手本となった世界に誇る日本のグリーン購入法の歴史は滋賀グリーンネット(滋賀グリーン購入ネットワーク)の歴史といっても過言ではありません。
1994年全国に先駆けて滋賀県が「環境にやさしい物品購入基本指針:県民に率先した県職員のエコロジカルマインドの覚醒を目指して」を策定しました。環境調和型製品を優先的に買うという「大口ユーザーとしての行政の役割はグリーン購入市場の確立につながる」という理念のもと、日本で最初の組織的な「グリーン購入」の取り組みを始めました。この滋賀県の動きを契機に2年後の1996年グリーン購入ネットワークが発足したのです。
1996年2月2日東京の芝グラウンドプラザに設立発起人の74団体が集まり、滋賀県を筆頭とする幹事24名と代表幹事が選出、グリーン購入の全国ネットとしてグリーン購入ネットワークが発足したことをまるで昨日のことのように脳裏に焼き付いています。
グリーン購入ネットワークの生みの親である滋賀県は、グリーン購入は東京だけを拠点にして活動しては限界があるとして、地域ネットの設立を提案、全会一致で可決されました。その結果1999年12月全国初の地域ネットワークである「滋賀グリーン購入ネットワーク」を発足させました。これが北海道から九州に至る地域ネットワークへと発展し、日本のグリーン購入法制定の動きにつながったのです。さらにThink Globally Act Locallyという地球規模での環境問題解決への取り組みへの重要性から、2004年12月仙台でグリーン購入ネットワークの運動を日本から世界にということで「第1回グリーン購入世界会議in仙台」を開催。これが2005年4月のIGPN国際グリーン購入ネットワークの発足につながったのです。
まさに滋賀グリーンネット20年の歩みはAct Locally, Think Globallyを実践してきた歴史であり、今日の世界課題であるSDGsの中核課題の1つである「持続可能な消費と生産」への取り組みへと導いているといっても過言ではないでしょう。SDGs2030目標達成期限までさらに活動のギアを上げていきましょう。
滋賀グリーンネット20周年に寄せて
- 滋賀グリーンネット アドバイザー
- 同志社大学 名誉教授
- 郡嶌 孝
世の中が変われば、自分も変われるのではない。自分が変われば、世の中も変わるのである。滋賀のGPN活動は、環境問題を自らの日常的課題として、先鞭をつけた。これが、世の中を動かし、全国のGPN活動に繋がった。それは、「モノと人のあり方」を問うという活動であった。さらに、エゴをエコに変える運動であったし、「ME(エゴ)」から「WE(エコ社会)」に繋げる運動でもあった。
今や、グリーン活動は大きく羽ばたこうとしている。それは、「自然と人のあり方」を日常的に問うものであり、経済活動や暮らしの基盤たる「WE(エコ社会)」に自然を包摂する活動である。いや、自然に「WE」を包摂する活動である。
本来、自然なしに我々の経済活動や暮らしは成り立たない。にもかかわらず、我々は自然を切り崩すことによって我々の経済活動や暮らしを成り立たせ、これを豊かさの代償として当然のこととしてきた。しかし、その限界が近づくにつれて、我々は立ち止まった。そこから、「自然と経済と社会の鼎立」なしに明日への持続はないと悟った。
しかし、グレタ・トゥーンベリは厳しい言葉を投げかける。「あなた方は、自分の子供たちを何よりも愛していると言いながら、その目の前で子供たちの未来を奪っている」「環境に優しい恒久的な経済成長のことしか語らない」と。
自然からの資源はいずれ枯渇する。しかし、人の知恵は枯渇することはないし、無限のエネルギーを発揮する。ならば、この「究極の資源・エネルギー=人の知恵」を使って、未来を切り開くしかない。その知恵が「滋賀グリーン活動ネットワーク」にはあると思う。
滋賀グリーンネット20周年に寄せて
- 滋賀グリーンネット アドバイザー
- 滋賀県立大学 工学部 教授
- 徳満 勝久
滋賀グリーン購入ネットワーク(滋賀GPN)は、「滋賀県からグリーン経済をつくる」ということを活動ビジョンに掲げ、「子や孫の世代まで幸せや豊かさを実感できる安全・安心な環境の創造を、市場を通して実現していくこと」を活動目標とし、グリーン購入に留まらない幅広い環境負荷低減活動へと活動の幅を広げられてきました。このビジョンが、私の係わっている学生主体の活動グループ「廃棄物バスターズ」のミッションとも一致することから、滋賀GPNに参加させて頂くことになりました。
我々が目指したのは、リサイクルプラスチック原料を用いた“リサイクルプランター”の商品化であり、当時としてはマテリアルリサイクルの最先端を行く商品でした。混ざりものである低品質なリサイクル原料が抱える多くの技術的課題を学生達の努力で解決し、その商品化に成功した平成24年度には第十四回グリーン購入大賞・審査員奨励賞を授与頂きました。
今は、障がい者の方々の雇用創出を目的として、リサイクルプランターに花を植えて、それをメンテナンス付で企業様などにリース販売するという“hana-wa(はなわ)”活動へと進化しています。我々の歩みは正に、滋賀GPNのビジョンに合致したものであり、滋賀GPNと共に成長してきたように思います。
今、20周年の区切りを迎える滋賀GPN(今後は滋賀グリーンネット)の活動が、これからも幅広く広がっていくことを切に願っております。